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Kindle for Mac日本語版が出たのでePub変換とかバックアップとかイロイロ試してみた

      2015/12/12

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やっとKindle for Macの日本語版が出ましたね。なぜこのタイミングかはわかりませんが、これでMac、iPhone、iPadと、すべての端末でKindle本を楽しめるようになりました。

【公式】Kndle for Mac日本語版

早速、MacBook Pro 13" Retinaにインストールしてみたのですが、高解像度スクリーンということもあって、見栄えは上々です。

ダウンロードしたファイルには簡単にアクセスできる

インストール後、初回起動時にアプリからAmazonのアカウントを登録すると、購入済みの書籍一覧が表示されます。書籍を読むためにはいったんファイルを端末上にダウンロードする必要があります。このあたりはiPhone/iPadアプリと同じですね。

ちょっと面白いなと思ったのは、iPhone/iPadアプリでは端末の向きで単ページ表示と見開き表示が切り替えられる仕様でしたが、Mac版はウィンドウサイズに追従するかたちで文字がリフローされるところです。

なので、こういう極端なレイアウトもOK。まあ、実際にはフルスクリーン表示での閲覧が多いのではないかと思いますが。

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ふと、本のファイルはどこに保存されるのだろうと思ったのですが、メニューの環境設定で指定できるようになっていました。デフォルトは、

ユーザー名/ライブラリ/Application Support/Kindle/My Kindle Content/

となっていました。試しにフォルダを開いてみると、こんな感じであっさりファイルにアクセスできます。「.azw」という拡張子のファイルが本体ファイルで「.mbp」というのが、しおりや読みかけの位置といったメタ情報を記録するファイルと思われます。

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「.azw」ファイルをダブルクリックまたはKindleアプリのアイコンにドロップするとファイルが開きます。

※「ライブラリ」を表示させるには、Finderで[option]キーを押しながら、[移動]メニューを選択すると、[ホーム]の下に[ライブラリ]が表示されます。

SDカードにファイルを複製しておいて、そこからファイルを開くこともできる

試しにKindleアプリの環境設定で最初に行ったユーザー登録を解除してから、再びファイルをKindleアプリで開こうとすると、再ダウンロードしろというアラートが出て、ファイルを開くことができませんでした。

環境設定でユーザー登録を行って、もう一度、ファイルを開いてみると、今度は普通にファイルを開くことができました。

たぶんですが、ファイル自体にユーザー情報が埋め込まれていて、その情報とマッチしないユーザーが登録されている(またはユーザー登録のない)アプリでは書籍ファイルを開けない仕様になっているんじゃないかなあ、と。例えば書籍ファイルを友人に送っても、そのままでは読めないと思われます。

ちなみに複製されたファイルでもユーザー登録済みのKindleアプリであれば、ちゃんと開けるのでKindleファイルをSDカードなどにコピーしておいて、読みたいときはそのファイルをKindleアプリで開く、といったこともできそうです。SSD搭載のMacBookなど端末のローカルディスクの容量が不足しがちなマシンでは結構使えるTipsかもしれません。

Mac版のKindleファイルはiPhone/iPadアプリでは読めない

試みにiPhone/iPadの端末内をブラウズできるiExplorerを使って、同じファイルをiPhone版のKindleアプリでも読めるかどうかテストしてみました。

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画像はiPhone版のKindleアプリのファイル保存場所「Apps/Kindle/Library/eBooks/」にアクセスしたところです。ここにMacからファイルをコピーします。その前に同じ名前のファイルに上書きしてしまうといけないので、同名ファイルを探したのですが、テストに使った書籍のファイルはiPhone上では「フォルダ」の状態で保存されていました。どうもMacとiPhoneではファイル形式が異なるようです。上の図を見てもらえば分かるかと思いますが、ほとんどの書籍がフォルダに収められている状態になっています。

とりあえずテストのため、同名のフォルダを別ディレクトリに移動して、Macからファイルをコピーしてみました。期待した結果は「書籍の一覧の中にコピーした書籍のアイコンが表示されて、そのまま読める」でしたが、実際には書籍アイコンは表示されるものの、タップして開こうとすると再ダウンロードになってしまいました。どうやらMac版のファイルはそのままiPhoneでは読めないようです。

先ほどディレクトリを移動したフォルダを元の「eBooks」のディレクトリに戻してみましたが、こちらは再ダウンロードなしでそのまま読むことができました。

残念ながら、もしKindleファイルのバックアップを取っておきたいということであれば、Mac版、iPhone/iPad版のそれぞれのファイルをバックアップしておく必要がありそうです。もっとも、近い将来、Kindleファイルが突然ダウンロードできなくなるということは無さそうなので、バックアップを取るという発想自体、必要ないとは思います。

azwファイルをPDF/ePubに変換してバックアップできるか?

ここから先は興味本意というか、あくまで「実験」ということで、他の汎用フォーマットに変換してバックアップができるかどうかという話です。

電子書籍の汎用フォーマットとしては「ePub」または「PDF」あたりに変換できると、一気に対応アプリ、対応端末が広がります。

結論から言うと「ePub変換は◎」「PDFはレイアウト固定型の書籍なら◎、テキスト主体のリフロー型は×」になります。

「レイアウト固定型」というのは漫画や雑誌などページのデータを画像で持っているフォーマットを指します。「リフロー型」というのは、文字サイズの変更が可能なテキストデータが主体となっていて、一般的な書籍はこちらのフォーマットがほとんどです。

変換の手順は、

  1. KindleファイルのDRMを解除する(DRM解除ソフトを使う)
  2. 変換アプリ(またはオンライン変換サービス)を使ってePub/PDFに変換する

という流れになります。

ePubはもともとKindleのフォーマットと近いせいか、レイアウト固定型、リフロー型ともに忠実に再現できます。変換したファイルはePubフォーマットの読み込みが可能なアプリで開くことができます。Macだと「iBooks」が代表的ですね。

PDFについては、レイアウト固定型であれば問題なく変換できますが、リフロー型だと縦組みがうまく変換できないようです。変換アプリによってはうまくいくものもあるかもしれませんが、試した範囲では、うまくいきませんでした。

Kindle本に限って言えばePub/PDF変換の必要はない

本当はこのあたりの詳しい手順も書くつもりだったのですが、KindleのDRM解除は「現時点」では違法ではないものの、Amazonの利用規約には反することになります。

Kindle本の購入は「書籍本体の購入」ではなく「書籍を読む権利」の購入にあたるので、指定された形式以外での閲覧は規約違反になってしまいます。場合によってはアカウントを丸ごと削除ということもありえると思われます。

ですので、ここで詳しく書くことはやめにしました。期待してここまで読んでくれた方スミマセン。。

ただ、上でも書いた通り、Kindle本について言えば、業界No.1のサービスで市場もどんどん大きくなっているサービスですから、わざわざバックアップを取らなくても、急にサービスが停止して購入した本が読めなくなってしまうというようなことは起こらないと思います。

手間ひまかけてフォーマット変換しても享受できるメリットはほとんど無い、というのが個人的な結論です。どうしても変換したいという方は「Kindle DRM解除」で検索すれば他にも方法を解説したサイトが出てくるので、そちらをどうぞ。

最後にAmazonに要望「コレクション」機能をMac版にも付けてくれ!

メリットはほとんど無いと書きましたが、ひとつだけ挙げるとすれば「ファイルをフォルダで分類して整理できるようになる」というのはあるかもしれません。

フォルダ分けできれば、それをそのままDropBoxとかにアップしておいて随時ダウンロードして任意のアプリで開くなんてこともできますしね。

現状のKindleアプリでも「コレクション」という名前でカテゴライズ機能が用意されていますが、これはタグ付け機能のようなもので、ちょっと使いづらいです。購入するたびにいちいちタグ付けしないといけないのはちょっと辛いです。iTunesの音楽ファイルのように著者名とかジャンルがあらかじめ設定されていればいいのですが(ちなみにiBooksではデフォルトで作者、カテゴリの分類に対応しています)。

数十冊ぐらいだと大したことはありませんが、数百冊、数千冊になるとタグ付けするのもひと苦労です。とくにiPhone/iPadで作業するとなると苦行に近いですね。

Mac版のKindleが出てタグ付け作業がちょっと楽になるかと思ったのですが、なんとコレクション機能が同期しないことが判明!マジか、Amazon!...orz

と、悩ましそうなことを書きましたが、変換の手間を考えると、当分ePub変換に手を出すことは無さそうです。SDカードバックアップはそのうち試してみようと思います!

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