Hero of the Day

日々の雑感を徒然に

フジロック 2010 に行って、Magma にノックアウトされて帰ってきた

      2016/04/14

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友人が招待券をもらったとかでチケットをくれたので、30日(金)に新潟・苗場で開催されたフジロック 2010 に行ってきた。

この手の野外フェスは初めてで、特にフジロックは色んな意味で観るのが大変らしいので、ちょっと心配だったのだが、何とか大きなトラブルに見舞われることもなく、帰ってくることができた。

現地へはクルマで行ったのだが、そのあたりの道中記みたいなモノは別記事でエントリーすることにして(事前にネットでいろいろ調べたのだが、なかなか有益な情報が少なかったので、これから参加する方向けに情報共有したいな、と)、観たアーティストの簡単なライブレポを。

今年の参加アーティストは下記ページの通り。

http://www.fujirockfestival.com/artist/

これまで、フジロックというイベントについては注意して見たことがなかったのだが、参加しているアーティストの面子はちょっと不思議でどういう基準で選んでいるのか、よく分からないところがある。おおむねロックのジャンルにカテゴライズされるアーティストが中心だが、ジャズなど他のジャンルのアーティストもちょこちょこ混じっている。国籍は日英米あたりがメインだ。

かなりの数のアーティストが参加していて、苗場スキー場の敷地内に点在する複数のステージで演奏するのだが、同じ時間帯に重なるステージも多く、基本的に全部観るのは不可能。また、広大な会場内を各ステージに移動しながら観るので、演奏時間帯が重なっていなくても、移動に時間を食われて、最初から最後まで完全に観るのは難しい。一応、音の傾向的に重ならないように構成されていると言うことだが、ちょっと好みが広い人だと、なかなか厳しい選択を迫られることになる。というか、こういうフェスって、普段聴かないアーティストの音楽に触れられるのがメリットだと思うのだが、能動的にやらないと、そういう経験はできないように感じた。

ちなみに観てきた30日(金)のタイムテーブルはこれ。

http://www.fujirockfestival.com/artist/timetable/tt30.asp

最初に観たのはヒカシュー(友人がファンなので)のステージ。

ヒカシュー - Wikipedia
http://qurl.com/tng8g

日本のテクノポップの元祖ということで最近、若手のアーティストにもリスペクトされているというヒカシューだが、現在の音はプログレ的な感触のノンジャンルロックという趣だ。ホーンやテルミンなども入っていて、なかなかかっこいい瞬間もあったのだが、ボーカルの歌い回しが肌に合わず、あらためて聴き込んでみようという気になる音楽ではなかった。かなり個性的な歌なので、熱烈なファンは逆にその部分を愛しているのだと思う。演奏は前半と後半が良かった。

友人によれば、普段やらない曲もアレンジを変えて演奏していたりと、なかなか充実したステージだったようだ。個人的にはベースの音がやたら目立つミックスになっていて不思議な感じがした。

大きめのステージとしては会場の一番奥に位置する Orange Court というところだったのだが、すぐ隣の Field of Heaven というステージでは、同じ時間帯にキセル、iLLといったアーティストが演奏していた(このステージは日本のアーティストのみ出演する場所だったようだ)。

キセル (バンド) - Wikipedia
http://qurl.com/ggm4v

iLL (中村弘二) - Wikipedia
http://qurl.com/nw6gw
この Field of Heaven と Orange Court はお互いの距離がかなり近く、隣でサウンドチェックしている音が丸聞こえで、観賞の妨げになるんじゃないかと心配になったが、さすがに演奏が始まると、かなりの爆音なので、音が混じってしまう心配は無い。

通りすがりに聴いたという程度なので、あれこれ言うことは難しいのだが、普段、日本のロックをほとんど聴かない身としては、最近はこういう音のバンドがいるんだなあ、という感想を持った(レポでも何でもないね....)。
この後、夕方までは目当てのアーティストの出演がなかったので、会場内を移動しながら、屋台で食事を取ったりしていたのだが、前日、ほとんど寝てないせいもあって、一旦、クルマに戻って休憩することに。
夕方、18時頃になって、The XX のステージを観ようと再度、出撃。心配していた雨が降り始めて、雨合羽、長靴の重装備に着替えて会場入りした。

The XX は屋根のある半屋外的な Red Marquee というステージでの演奏だった(四方の壁が取っ払われた体育館のような造り)。音的に野外ステージで映える音なんだろうか、と心配だったのだが、案の定、微妙な印象。それでも、かなりの観客が集まっていて、それなりに盛り上がっていたようだ。完全に日が暮れてからの屋外ステージでライトアップとかが凝っていたりすれば、幻想的な雰囲気になって印象は違っていたんじゃないだろうか。この手のライブは、そういう外的要因も大きいと思う。

ザ・エックス・エックス - Wikipedia
http://p.tl/M7KD

早々に切り上げて、次の Them Crooked Vultures に備えて腹ごしらえをすることに。会場内での飲食は屋台販売になるのだが、かなり種類も豊富でなかなか目移りする。この時はチャーシュー焼きそばというのを買ってみたのだが、まあそれなりな味。こういう場所で食べるものだから、味云々を言うのもアレだろうが、お金を払ってから15分近く待たされたのには閉口した。

Them Crooked Vultures は準ヘッドライナーということもあって、一番大きい Green Stage での出演だった。話に寄れば30000人超のキャパということだ。確かに面積的にはちょっとした球場並みの広さはある。ステージ両脇と正面に大きなスクリーンが配置されていて、かなり豪華な造りだ。この時点で19時過ぎぐらいだったので周囲はほぼ真っ暗。あたりの森がスクリーンの光に照らされて色づく様子は、ちょっと印象的だった。

ステージ前の平地後方のなだらかな斜面に陣取って演奏開始を待つことにしたが、見ているとあれよあれよという間に会場が人で埋め尽くされていく。さすがに人が集まるね、などと話しているうちに、20分ほど遅れて演奏がスタート。

Them Crooked Vultures はアルバムで聴くと、音像はかっこいいが、曲がいまいちだなあ....と思っていたのだが、ライブはかなりかっこいい。やっぱり野外フェスだとハードロックは映えるな、と感じた。演奏も息が合っていてタイト。ジョン・ポール・ジョーンズは、さすがにおじいちゃんといった外見だったが、元気よくステージを動き回っていた。客もかなり盛り上がっていたが、考えてみると音的にかなり渋めのハードロックなので、盛り上がり過ぎなんじゃないかとも思った。

ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ - Wikipedia
http://p.tl/7M_x

Them Crooked Vultures の音圧で心地よくなってきたところだったのだが、次の Magma の開演が迫っていたので、残念なことに3曲ぐらいで切り上げて、移動することに。場所は一番奥の Orange Court なので、最低でも20分ぐらいは見ておかないといけない。夕方から降り続いている雨のせいで地面は相当なぬかるみ状態。かなりの人がいることもあって、移動には実距離以上の時間がかかる。

途中、鮎川誠のサンハウスの演奏を横目に見ながら、 Orange Court にたどり着いたときには、既に演奏は始まっていた。一番小さな会場にもかかわらず(それでも2000〜3000人キャパはあると思うが)、人の入りはステージ前の一角のみと寂しい。さっきまで観ていた Them Crooked Vultures と比べると余計に落差を感じる。それでも Magma 目当ての客が多いのだろう、全体的には盛り上がっている様子だ。

ステージ到着直後はさすがに疲れて、椅子に座って観始めたのだが、簡単に最前列で観れそうなので、せっかくだからと一番前(ステージ脇あたり)まで移動。メンバー数が多いので(8人)、それを良く観ようと思ってと言うのが本当のところで、この時点では、演奏に感銘を受けてとかではなかった。

ステージ近くまで寄ってみて、男Vo1名、女Vo2名、ギター、ベース、キーボード、ヴィブラフォン、ドラムというメンバー構成であることが分かった。正直言うと、Magma は何となくフレンチプログレバンド、という認識しか無く、前知識も無いに等しい状態だった。

マグマ (バンド) - Wikipedia
http://p.tl/x37G

最初は、ヴィブラフォンが入っているなんて変わった構成だな、などと考えながらのんびり観ていたのだが、気がつくと演奏に飲み込まれてしまっていた。

音的にはジャズロックが一番近いような気がするが(それだけでは言葉が全然足りないが)、とにかくリズム隊のドライブ感がすごくて、そこにキーボードとヴィブラフォンによる浮遊感が加わり、一種、異様な迫力を生んでいる。そこに絡まるボーカル、コーラスも男女3名構成と言うこともあって、かなり色合い鮮やか。そして曲の中に何度も何度もクライマックスがあって、そこに達するまでの盛り上がり感というかアゲアゲ感というか、それが本当にすごい!!!

ほとんど途切れなく演奏が続くメドレー状態だったので、何曲やったとかは、よく分からないが(そもそも曲の知識が無いわけだが)、ほぼノンストップで演奏してステージを終了。終わってから時計を見ると90分も経っていて驚いたが、それぐらい濃密なステージだった。

終了後は、しばらく放心状態で「これはすごいな!」とうわごとのようにつぶやくのが精一杯だったのだが、後で聞くと、Magma ファンの間でも、かなりいい演奏だったという評価だったとか。

いや、本当にこれだけで来たかいがあったと言える超絶ステージだった。
この後、ヘッドライナーの Muse のステージを観て帰ろうという予定だったのだが、もうこれ以上何も入らない状態になってしまい、Green Stage は素通りで帰宅の途についた(チラ見ではあったけど、Muse は Them Crooked Vultures 以上にメジャー感バリバリでさすが大トリだなあと感じた)。

終わってみると、結局、まともにステージを観たのは、ヒカシューと Magma だけで、後は中途はんぱな観賞になってしまったが、頑張ってみても、一日に観れるのはせいぜい4〜5グループぐらいだったように思う。若い子だったら、もっと観れると思うけどね。

たまたまタダでチケットが手に入って、きっと最初で最後だな、野外フェスなんてと話していたのだが、やはり、Magma のような出会いがあると、また来てみたいという気になる。チケットも1日だけでも18000円、3日間通しだと48000円、交通費や宿泊費も考えると、かなりな出費になってしまうが、一度は体験しておくべきだなあ、と感じた。ロック好きの学生さんや若い人たちには、なかなか痛い出費だろうが、がんばって参加する価値はあるんじゃないだろうか。それだけの体験はできると思う。自分も20代のうちに行っておきたかったなと感じた。

終わり良ければ全て良し、ではないが、Magma にぶっ飛ばされたフジロック初体験だった。

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