Fear the Walking Dead シーズン2が予想外に面白い
Walking Deadの「失速」で仕方なく見始めたらアタリだった
Feat the Walking DeadはWalking Deadのスピンオフとして、2015年秋にスタートしたテレビシリーズだ。
先月からAmazonプライムでシーズン2がスタートしたのだが、これが予想外に面白い。
フィアー・ザ・ウォーキング・デッド シーズン 2 (字幕版)
シーズン1を見た時の感想は「展開がスローだし、ゾンビの出てくるシーンも少ない。登場人物も魅力に欠ける。」というものだったので、自分でもちょっと驚いている。
何しろ最初はそんな印象だったので、配信開始のニュースを観てもなかなか気が向かなかったのだが、先に配信開始になったWalking Deadシーズン6後半がまさかの失速(あまりの展開に興味が失せてしまった。。本当にショック)のため、しぶしぶ見ることにしたのだった。
ところが見始めると、これが面白い。
今この文章を書いている時点ではエピソード5まで配信済みなのでが、すぐに全話見て、次回配信を心待ちにしているような調子だ。
何が変わって面白くなったのか?
なぜ急に面白くなったのか、理由を考えてみた。
主な舞台が「海上」だから
Fear the Walking Deadシーズン1は、ロサンゼルスの市街地が舞台だったが、シーズン2の舞台は主に海上だ。
ゾンビ物の舞台としてはちょっと珍しいと思う。
しかし、今までゾンビ映画を見ていて「海に逃げればいいのに」と思ったことがある人はたくさんいるはずだ。
海に逃げて、安全が確認できそうな場所でだけ、陸に上がるようにすれば生き延びられるんじゃないか。
Fear the Walking Deadのシーズン2では、まさにそういう状況でどんなことが起こるのかが描かれている(ネタバレするので詳細は書かないが)。
見ていて「なるほど、まあ、こういうことは起こるわな。。」という納得感はかなり大きく、この「海上が舞台のゾンビ物」という新味が面白さと感じられている気はする。
登場人物に親しみを感じられるようになった
シーズン1を最初に見た時は「なんて地味なキャスティングなんだろう」と思った覚えがある。
Walking Deadのスピンオフということで、どうしてもWalking Deadと比較してしまうことになるが、何しろあちらはもう5シーズンもやっているシリーズである。
もう何年も馴染みの登場人物たちに比べて、こちらのFear the Walking Deadは一見さんだ。
シーズン1が面白くないと感じたのは、登場人物に魅力がなかったからという点も大きかったように思う。
とはいうものの、ではWalking Deadの方は俳優が魅力的だったから面白かったのかというと、そういうわけでもない気がする。
今でこそ大人気の俳優さんたちだが、最初の印象はFear the Walking Dead同様、地味な印象だった。
リックもシェーンもなんか垢抜けないし、ローリはあんまり美人じゃないし(なんでシェーンと取り合いになるんだ?と不思議だった)、ダリルも太っている。
やっぱりテレビシリーズの俳優は、映画と比べていまいちだな、ぐらいに思っていた。
それでもWalking Deadが面白く感じられたのは、ゾンビの登場シーンが多く、次から次へと緊迫感のあるシーンが続いたからだろう。
話の展開に引き込まれて見ているうちに、登場人物に感情移入できるようになっていた、ということなんじゃないだろうか。
Fear the Walking Deadも、メインキャストのはずのトラヴィス(下の写真)なんかは本当に「地味すぎる。。」と最初は思った。
他のキャストも似たようなものだ。
ところが半年ぶりにドラマを見たら、なんだか久しぶりに友人と再会したような感覚である。
上でも書いたが、映画俳優に比べるとテレビ俳優は色々な意味で格下だろう。
なので映画の場合と違って、俳優の魅力に頼って視聴者を引き込むことがテレビの場合は難しいと言える。
しかし、わずか2時間ほどの映画に比べて、テレビの場合はその何倍もの時間をかけてストーリーを展開し、時間をかけて登場人物の魅力を刷り込むことができる。
こういうところがテレビシリーズの難しいところでもあり、また魅力でもあるだろう。
そういう意味では、映画俳優というのは、わずか2時間ほどで観客を魅了してしまうわけで(そうじゃないこともあるけど)、人気俳優というのは、やはり相当なタレントだなあ、と思う。
話の進み方がちょっと独特
これは面白くなった理由ではなく、シーズン2を見ていて変だと思ったというか、独特な演出だなあ、と思った点である。
シーズン2はヴィクターの屋敷から大型ヨットに乗って海上に出るところから始まるのだが、いきなり屋敷が燃えていて、ゾンビがそこらじゅうに徘徊しているシーンからスタートする。
トラヴィスとマディソンは浜辺からボートに乗り込み、迫ってくるゾンビの群れから間一髪、逃れるのだが、シーズン1のラストシーンとこのシーズン2の冒頭のシーンとの間の経緯がドラマの中ではまったく描かれない。
そういう演出なんだろう、といえばそうなのだろうが、普通はヴィクターの屋敷にたどり着き、一息ついているところにゾンビの群れが迫ってきて、、、というあたりのシーンを入れるんじゃないだろうか。
そういうシーンが端折られているからといって、話が見えなくなるわけではなく、見ている方としては「ヴィクターの屋敷もゾンビに囲まれてきたんで、ヨットで逃げることになったんだな」と推測することができる。
こういう「端折っても視聴者のストーリーの理解を妨げないシーンは容赦なく省く」という演出が非常に多く見られる。
少し先の時間軸のシーンに飛んで、その後、飛ばした時間に戻ってストーリーを描いていく演出はよく見かけるが、Fear the Walking Deadの場合はその飛ばした時間は端折ったままになってしまう。
見ている方はいきなり話が飛んだような気がして、「あれ間違って早送りしたのかな?」「1話飛ばしてしまったのかな?」と思ってしまうが、それは意図した省略でそのまま話は進んでいってしまう。
端折られたシーンが無くても推測・想像することでストーリーは問題無く理解できるのだが、なんだか不思議な感覚である。
シーズン1では、こういう演出は全く無かった。
脚本か監督が変わったんだろうか?と思って、シーズン1と2の脚本と監督を表にしてみた。
データはここから引っ張った。
Monster - Walking Dead Wiki - Wikia
シーズン1 | ||
---|---|---|
エピソード | 脚本 | 監督 |
Pilot | Dave Erickson Robert Kirkman |
Adam Davidson |
So Close, Yet So Far | Marco Ramirez | Adam Davidson |
The Dog | Jack LoGiudice | Adam Davidson |
Not Fade Away | Meaghan Oppenheimer | Kari Skogland |
Cobalt | David Wiener | Kari Skogland |
The Good Man | Robert Kirkman Dave Erickson |
Stefan Schwartz |
シーズン2 | ||
---|---|---|
エピソード | 脚本 | 監督 |
Monster | Dave Erickson | Adam Davidson |
We All Faal Down | Kate Barnow Brett C. Leonard |
Adam Davidson |
Ouroboros | Alan Page | Stefan Schwartz |
Monster | Kate Erickson | Michael Uppendahl |
Captive | Carla Ching | Craig Zisk |
表を見ると、脚本は原作者のDave EricksonとRobert Kirkmanが複数回登場するものの、ほぼ毎回バラバラだ。
監督についてはAdam Davidsonが一番多いが、シーズン1だけでなくシーズン2も担当している。
というわけで、脚本や監督が変わったからということでもなさそうだ。
あるいは、別に演出というほどのものではなく、予定している放映回数にストーリーを押し込むために端折っているだけなのかもしれない。
事の真相は分からずじまいだが、いずれにせよ「こういう演出もあるのか」とちょっと驚いたのは確かだ。
また、面白さには関係ないと書いたが、この演出方法によって、ストーリーの展開にスピード感が出ており、それが面白さにつながっているとも言えるだろう。
シーズン3の続行も決定
シーズン2で(個人的には)「化けた」Fear the Walking Deadだが、シーズン3の続行も決定している。
シーズン2も全15話でまだ10話も残っているので、向こう2ヶ月は楽しめそうだ。
Amazonプライムで配信中なので、未見の方は是非一度、見て欲しい。
シーズン1はちょっと退屈だが、シーズン2で一気に盛り上がるので。