Hero of the Day

日々の雑感を徒然に

安藤昇「男の終い仕度」を読む

   

中高年以上の男性に向けたメッセージ本

これまであまり読んだ本のことを書いてこなかったが、読んだ端から忘れてしまっていくのも口惜しいので、簡単に書き記しておくことにする。

一昨年暮に亡くなった安藤昇はヤクザの親分から主演クラスの俳優に転身という経歴の持ち主で、その生き様から熱狂的なファンも多い人物である。

(話は逸れるが2015年の年末は高倉健、菅原文太、そしてこの安藤昇と任侠・ヤクザ映画の大物俳優が立て続けに逝去している)

と言っても、昭和元年生まれで映画俳優として活躍したのは60~70年代、亡くなった時は90歳近い年齢だったので、世の中的にはそれほど話題にならなかったのではないかと思う。

コンプライアンスとか反社会勢力排除と言った機運が高い昨今だと、こういう人物はあまり大きく取り上げにくいということもあるだろう。

何がきっかけで安藤昇の本を読んでみようと思ったのか記憶が定かではないが、おそらくネットでその人物を取り上げた記事か何かを読んでだと思う。

この本は晩年になって書かれたもので、男の生き方、立ち振る舞いについて安藤昇が語るという内容になっている。

他にも似たような本がいくつか出ていて迷ったのだが「終い仕度」という男の晩年にフォーカスしたタイトルが面白いと感じて、この本を注文したのだった。

破天荒な生き方をしてきた著者なので、豪快さを感じさせる処世訓が多いように思えるが、思いの外、まっとうな意見が多いようだ。

ただ、当たり前の話を当たり前にしてもつまらなくなるところだが、引き合いに出されるエピソードが面白く、辛気臭いお説教的な内容になっていないのはさすがだと思う。

ただし全体的に中高年以上の男性に向けた語り口になっているので、若い人には今ひとつピンとこないかもしれない。

本の分量もそれほど多くなく、あっという間に読めてしまうが、自分の中に取り込もうと思うなら、折を見て読み返すのがいいだろう。

残念ながらKindle版が無いので(安藤昇のKindle本は一冊もない。。)、自分の場合は例によって自炊してPDFにしてしまった。

安藤昇の処世訓を知りたい人に

安藤昇の魅力は何かというと、全体に漂う「ニヒルさ」だろう。

十分に熱量は持っているのだけど、同時に何事も醒めた目で眺めているような感じがいい。

何事にも動じないクールさというか。。

なかなかこういう具合にはいかない。

これまでの生き方と持って生まれた性質が混ざり合ってできたものだと思う。

こういう粋な男の話を読んで少しは我が身の振り方の参考にしたいと思うが、難しいところだ。

この本の他にも安藤昇の本をいくつか読んだので、また書いてみようと思う。

 

 -