レビュー「徹夜しないで人の2倍仕事をする技術三田流マンガ論 ─三田紀房流マンガ論─」
人気作家「三田紀房」による仕事効率化&ヒット作の生み方の指南本
徹夜しないで人の2倍仕事をする技術三田流マンガ論 ─三田紀房流マンガ論─
作業効率を上げることを指南するビジネス書は多数あるが、人気漫画家である三田紀房の著作というところがミソだろう。
このところまた仕事というか作業に追われているので、ついポチッと購入してしまった。
価格は378円と安いがページ数も少ない。
普通に読めば一時間もかからないはずだ。
ちなみに漫画ではなく、文章本である。
肝心の中身だが、当たり前といえば当たり前の話が多く、この手の本を良く読んでいる人にとっては拍子抜けなのではないかと思う。
「2倍仕事をする技術」というタイトル通り、半分は仕事効率化のための話が書かれている。
残りはどうやってヒット作を生むかという発想法の話になっている。
仕事効率化について書かれているポイントはこんな感じだ。
- 朝~夕方まで規則正しい生活リズムで仕事をする
- 徹夜はしない(身体に負担がかかる、人が辞める)
- 作画やストーリ作りに必要以上に凝らない(凝っただけの質の向上はまずない)
- 時間がかかる調べ物は分業にする(自分で調べる時間を省く)
- アイデアを考えようとしない。見たこと聞いたことをそのまま描く(アイデアが浮かばないと自己否定からモティベーション低下に繋がってしまう)
- 可能であれば作画もアウトソースする(自分で描くこだわりを捨てる)
全体として、アーティストではなく、職人を目指せ、というトーンになっているように感じる。
短い本だが気づきは多い
著者は30歳を過ぎて必要に迫られて(実家の衣料品店が行き詰まり金が必要だった)漫画家になったという経歴の持ち主で、その過程で考えてきたことが色濃く反映されている内容だと思う。
ちょっと面白いなと思ったのは、「漫画家なんて全然才能がある人間じゃない、ただ『やった』人だ」という話。
確かに才能の有無を言う前に、やるかやらないかのところに大きな溝があるよな、と実感が持てる。
そのほか、デビューのきっかけが、義姉が村上もとかの奥方と親友で、最初に描いた作品を見た村上もとかに「いいね」とお墨付きをもらったこと、といったエピソードもあり、なかなか興味深かった。
短い本だが、いろいろ考えるきっかけになるものは含まれていると思う。