Hero of the Day

日々の雑感を徒然に

映画「ロンドンゾンビ紀行」は何となく惜しい作品だった

      2015/12/12

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これもちょっと前の映画になりますが「ロンドンゾンビ紀行」を観ました。先日記事を書いた「ゾンビ・ハイスクール」と同じく、小田急線の車内で鑑賞です。

いつDVDを借りたのかも覚えていないのですが、iPhoneに入っているところを見ると、借りた時は観る気まんまんだったのではないかと思います。すっかり忘れていましたけど。。

最近、仕事帰りの電車内では映画を観ることが多いのですが、これが一番時間が経つのが早くていいです!立ちっぱなしで帰っていても、あっという間に着くような気がします。ただし、ある程度、面白い作品でないと逆に家路が遠のく感じがしてアレですが。。

電車内での視聴は iPhone 6 plus を使います。iPad Air2も持ち歩いているので、そちらで観る方が画面も大きくていいのですが、さすがに大きすぎて周りの目が気になります。特にゾンビ物はぐちゃぐちゃなシーンも多いので、うっかり画面を覗き込んだ他のお客さんの気分を害してもいけませんしね。。

ちょっと話が逸れてしまいましたが。。

確かこの映画、劇場公開時にはテレビCMもやっていたはず。老人ホームの老人たちとゾンビの戦いという設定に興味をそそられた記憶があります。ジャンルとしては「ホラーコメディ」で、宣伝では「ショーン・オブ・ザ・デッド」や「ゾンビランド」が引き合いに出されていたところも、関心を持ったきっかけだったように思います。

そこそこプロモーションしていただけあって、冒頭のタイトルデザインもちょっと凝っていて、期待感が高まります。

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ストーリーは、閉鎖の危機にある老人ホームを救うため、入居している祖父の孫にあたる2人の兄弟が資金調達しようと銀行強盗を試みるが、その頃、ロンドン市街では工事現場で発掘された古代遺跡からゾンビが溢れ出していた...といった展開です。

老人ホームとゾンビという取り合わせや、同時進行で銀行強盗を絡めるあたり、面白そうなストーリー展開なのですが、視聴後の感想としては「最後まで盛り上がりきらずに終わってしまった。。」でした。

なんというか、車で走り出したものの、ずっと2速で走ってゴールまでたどり着いたような感じなんですよ。爽快感がないと言えばいいのか、表現が難しいのですが。

決して面白くないわけではないのですが、かといって身を乗り出していくほどの没頭感も得られないという中途半端な感じ。途中、何度も盛り上がりそうなシーンがあるのですが、なんとなく乗り切らず、エンディングに至ります。

このイマイチ感はなんだろうと見終わって考えていたのですが、おそらく話の展開にスピード感がないことが原因なんじゃないかと。

上で書いたようにずっと「2速」のままなんですよ。畳み掛けてほしいシーンに余計な描写が差し込まれているせいでスピードがなかなか上がらない。「それで次どうなるの?」というところで、なかなか話が進んでいかない「もどかしさ」が最初から最後まで続きます。

もうちょっとテンポが良くなるように無駄な部分を編集してしまえば、ずっと面白くなるような気がしますが、そもそもこの映画、時間にして88分と短めです。たぶん無駄なところを切ってしまうと1時間ちょっとぐらいになってしまうのではないかと思います。さすがにその長さでは劇場映画としては成立しないので、緩急の「緩」の部分で尺をかせぐ必要がありそうです。

個人的には主人公の2人の兄弟とその祖父である老人との関係があまりよく分からなかったので、そのあたりを深堀すればよかったんじゃないかなあ、と思います。

銀行強盗までして老人ホームを救おうとする兄弟のモチベーションが何なのかいまいち分かりづらいのですが、実は兄弟の両親(すでに亡くなっている)も犯罪者だったという設定があり、そこから親が犯罪者だったから息子たちも銀行強盗に走った、というような説明になっています(たぶん制作者はそういう意図だと思います)。ただ、その辺の描写がすごくあっさりしていてあまり説得力がありません。

ここの「なぜ」の部分をしっかり伝えてから、いっきに銀行強盗から後半の老人ホームの場面を畳み掛ければ、もっと面白くなったんじゃなかろうかと思います。

キャストの見所はミシェル・ライアンとジョージア・キングという異なるキャラ設定の女優さんふたりです。女性ばかりに目が行って申し訳ないですが。

ミシェル・ライアンは錠前破りの名人で2人の兄弟のいとこという設定で登場します。

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ご覧の通り、きれいな女優さんですが、ちょっとゴツい感じですね。マシンガンでバシバシ、ゾンビを撃ち殺します。

ジョージア・キングは銀行強盗で人質にされて連れ回される役ですが、最後は主人公たちと一緒にゾンビと戦う設定になっています。こちらはキャーキャー言いながら逃げ回るキュートな役どころで、実際かわいいです。

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ちょっと若い頃のゴールディ・ホーンに似てますかね。かわいい女優さんなので、もう少し出所が多ければ良かったなあ、と思います。

あと、話の筋には全然関係ないのですが、ゾンビを銃で掃討するシーンでFocusの「Hocus Pocus」が流れて、ちょっとズッコケます。何でこの曲?という違和感がありまくりなのですが、戦闘シーンにも合ってないし意図が全然分かりません。。

知らない方のために少し説明すると、1973年にヒットしたオランダのプログレバンド「Focus」によるヒット曲です。ジャンルとしてはハードロックなのですが、曲中にヨーデルの部分が挟み込まれている、ちょっと変わった曲です。当時、イギリスではすごい人気だったそうなので、制作者の誰かの趣味なのかもしれませんが。。

 

結論として、観て後悔はしない作品だとは思います。いい映画を観た時に感じる当たりを引いたような高揚感は得られませんが、気軽に楽しむには良い作品でしょう。

この映画のレビューをいろいろ見て回っていて見つけた、

“Cockneys Vs Zombies” is not “Shaun of the Dead,” but kind of wants to be.

「ロンドンゾンビ紀行」は「ショーン・オブ・ザ・デッド」になりたくて、なれなかった作品

という説明(※)が一番この映画の説明としては適当だと思いました。

※シカゴ在住のBrigid Keelyという作家さんの「Words, words, words, art.」というブログから引用させてもらいました。「もっと良い出来になるはずだった作品」という表現など、同じ感想が多く興味深かったです。

「ロンドンゾンビ紀行」公式サイト

映画『ロンドンゾンビ紀行』予告編

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